三井住友海上しらかわホールはなぜ響きがいいのか?

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三井住友海上の社会貢献活動の一翼を担う文化施設として、1994年に開館した三井住友海上しらかわホールは、豊潤な響きを誇る音楽専用ホールとして世界的な一流演奏家をはじめ、数多くの観客の方々から高い評価を得てきました。その響きの秘密は、意外にも「靴箱」に隠されていました。けれども、それはただの「靴箱」ではありません。究極の響きを求めて、途方もない年月を経て西洋音楽が辿りついた理想の「靴箱」なのです。

パリ音楽院大ホール
パリ音楽院大ホール

西洋が到達した理想の音響空間 「靴箱」=シューボックススタイル

三井住友海上しらかわホールは、「シューボックス」スタイルの音楽専用ホールです。
シューボックスとは、間口が狭く、天井の高い長方形の形状が、まるで「靴箱」を思わせることからそう呼ばれています。このスタイルは、古代ギリシャ・ローマ時代の円形劇場など、人と人とが集う空間としての劇場文化を育んできた西洋が到達した、究極の音楽演奏空間といわれています。バッハやモーツァルト、べートーヴェンなど人類最高の音楽文化が誕生した時代のヨーロッパのコンサートホールは、全てこのスタイルを基にしていました。19世紀のヨーロッパを代表するコンサートホール(資料画像参照)もすべてこのスタイルで、現在に至るまで理想的なコンサートホールとして評価され続けています。

なぜシューボックス・スタイルは音がよいのか?

コンサートで最も重要な要素といわれる舞台と聴衆の一体感。それを得るために必要な音響効果の3要素 (音量・残響・拡がり) のうち、特に「拡がり=音に包まれた感じ」は聴衆の感動・満足に特に直結する重要な要素といわれています。その拡がり感を増すためには側方反射音を強める必要があり、シューボックスという室形状は、この実現のために理想的とされています。けれども必ずしも「シューボックスであれば音がよい」と短絡的に決め付けることはできません。反響音・音の拡散などの制御は緻密な音響設計を経てはじめて実現できるものであり、音量・残響などの要素との高次元のバランスこそが、ホールとしての響きの個性、優秀性に他ならないからです。

三井住友海上しらかわホールの大きさは、幅16.5m、奥行31.5m、天井高は舞台上約14m。
これは幅と高さがほぼ1対1のシューボックス・スタイルの理想形といわれています。それに加え、細長い室形状による大きな側方反射音の付与。客席空間に突出したサイドバルコニーによる反射音の「叩き落し」効果。壁面や天井の凹凸、装飾などの緻密な配置による舞台・客席への音の拡散と散乱効果などなど...。 これら多彩な要素が緻密に組み合わされることで、はじめて理想的な響きが実現されるのです。

ケヴァントハウス(ドイツ・ライプツィヒ)
ケヴァントハウス(ドイツ・ライプツィヒ)

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